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毎日毎日の暮らしの中で思ったことや出会ったもの....、そんなものたちを日記形式で綴っていきたいと思います。

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2003年1月29日(旧暦12月29日)


 所用で東京へ出たので、目黒の蛸薬師成就院にお参りした。昨年から腰、ふくらはぎと怪我が続いているので、「御撫石」を授かるのが目的だった。「御撫石」は、正しくは「蛸薬師如来御撫石(たこやくしにょらいおなでいし)」といわれる石で、古くからその霊験の高さで知られている。真言を唱えながら(または念じながら)、30分から1時間、この御撫石で悪いところを撫で続けることで症状が改善される。見た目は普通の石ころみたいだけれど、慈覚大師が唐から持ち帰った御撫石の秘法を代々の住職が秘伝してきた有り難いものなのだ。日頃から、特に寒くなる前には、怪我をしないようにトレーニングを重ね、ウェイトを落とすように心がけているのだけれど、それでもちょっとした判断ミスや慢心が怪我を呼びこんでしまう。若い頃のような回復力もすでにないから、なるべく怪我はしたくない。怪我を治す、という意味よりも、怪我をしない、という意味でボクは「御撫石」を持ちたいと思った。
 

 目黒まで足をのばしたので、日本民藝館を久しぶりに訪ねた。開催中の「先住民族への眼差し 北と南の工芸」を見ることが目的だった。近ごろ改修された館内は、改修のあとがわからないほど自然で、かつての雰囲気がまるでそのままだったのが何より嬉しい。「先住民族への眼差し 北と南の工芸」も本当に素晴らしかった。綿、羊、苧麻、貝といった素材からつくられるハレの衣装から作業着まで、そして竹、木、藁などからつくられる儀礼の道具から日常の道具まで、アイヌと台湾先住民という日本列島の北と南に暮らす人々が紡ぎ出してきた美がなんの違和感もなくひとつの世界を構成していた。マヤ、イヌイット、アフリカ・・・あらゆるネイティブたちの布や道具が残像のように見え隠れする。そう、これが人間という動物のつくりだす美のスタイルなのかもしれない、いやきっとそうに違いない。DNAの奥深くから共鳴するような、そんな美しさがそこにあった。会期もまだ2ヶ月近く残っている、ぜひ足を運んでみてほしい。

 
民藝
御撫石    

                                             
   

2003年1月14日(旧暦12月12日)

 ずっと見たいと思っていた映画「チョムスキー 9.11」を、早くも発売されたDVDで見た。「誰だってテロをやめさせたいと思っている。簡単なことです。参加するのをやめればいい。」、映画の中でそう語るチョムスキーは、「知の巨人」と呼ばれるアカデミックなイメージではなく、まるでウッディ・アレンみたいで、実にカッコイイ。この映画をとにかく多くの人々に見てほしい。発売されたDVDは¥2500、東京までの交通費と入場料を考えると、その安さに驚かされる。鶴見俊輔先生とC・ダグラス・ラミス氏による「チョムスキー 9.11」完成記念トークライブの30分あまりのダイジェストが特典映像として収録されているのも魅力的だ。より多くの人の目にこの映画を届けるためには、実に優れた戦略だとボクは思う。

  チョムスキー9.11  
 

2003年1月5日(旧暦12月3日)


 神田明神への新年参拝のために上京した。新年を迎えた東京の街はあまりにも賑やかで、なにやら違和感を覚えてしまった。ボクが子供の頃、正月の東京は本当に静かだった。初詣の人々でで賑わう神社仏閣や、凧揚げや羽根突きで遊ぶ子供たちの歓声のほかは、ひっそりと静まりかえっていた。もちろん、すべての商店はシャッターをおろしていた。正月は一年に一度の「Buy Nothing Day(何も買わない日)」だった、そして同時に「何も売らない日」でもあった。そんなことがまるで嘘だったかのように、30数年の歳月はボクたちのライフスタイルをすっかり変えてしまった。ボクは今でも、正月三が日くらいは何も買わない、そして何も売らない日であったほうがいいと思うのだが・・・。

 神田明神から、開運波乗河童大明神参詣のため、かっぱ寺として知られる曹源寺へ向かった。祀られている河童さま、開運波乗河童大明神の「波乗」を文字通りサーフィンと考えれば、それはまさにサーファーの護り神とも思える。少なくとも、ボクにとってはそうだ、ボクは今年一年の水災難除を心から祈願した。オン・カッパ・ヤ・ソワカ。 波乗河童大明神 河童
エントランス
 さらに向ヶ丘遊園まで足をのばし、川崎市岡本太郎美術館で「美の呪力 ニューギニアの姿・かたち展」を見た。今泉コレクションとして知られる(今泉降平氏による)パプアニューギニア原住民の精霊の像や生活用具のコレクションを中心に、水木しげる先生の原画や妖怪画、大石芳野氏の写真、岡本太郎先生の写真や「太陽の塔」内部の写真などが展示され、「美しく」「野蛮」な世界が圧倒的な迫力で展開されていた。「ゴジラの時代展」、「岡本太郎とメキシコ展」、そして今回の「美の呪力 ニューギニアの姿・かたち展」。美術館であり、博物館でもあるそんな不思議な空間、芸術家であり民族学者でもあった岡本太郎先生そのもののような空間、そんなワクワクするような空間に川崎市岡本太郎美術館はなりつつあるように、ボクは思った。

2003年1月4日(旧暦12月2日)

 2003年を迎えた。子供の頃、ずっとずっと未来だと思っていた「2001年」をすでに過ぎ、ついにアトムの生まれる2003年になった。 ボクが南房総に移り住んで10回目の正月になる。この家からは毎年、海から昇る初日の出を見ることができた。残念ながら今年は厚い雲に覆われてその姿を見ることができなかった。この10年で初めてのことだ。厚い雲のその向こうの、見えないけれども確実に光り輝く太陽の姿をイメージして、ボクは新年を迎えた。


 外出しても騒がしいだけ、三が日は火鉢を抱えての読書がいい。読んだものの中から、面白かったものをここにあげてみた。

江戸の手わざ
アルヤこころの詩
野山で生まれた暮らしの道具
日本の千年湯
温泉力

「温泉力」  松田忠徳  集英社インターナショナル 
 本物の温泉が持つとてつもない力=温泉力。本物の温泉にこだわる温泉教授の最新刊、「アニミズム」への言及も見られ、本物の温泉とは何かということを徹底的に追求している。


「日本の千年湯」  松田忠徳・監修 芸術新潮編集部・編  新潮社 
 芸術新潮に連載されていた「千年湯を行く」が単行本化された。監修は「温泉力」の松田忠徳教授。日本列島に生まれて良かった、心からそう思わせる一冊。


「アルヤこころの詩 サウナと神話に癒されて 」  アルヤ・サイヨンマー   清流出版 
  日本列島の温泉、インディアンのスウェット・ロッジ、フィンランドのサウナ。これらはどれも宇宙との一体感を回復させるツールだということがよくわかる。


「江戸の手わざ ちゃんとした人、ちゃんとしたもの」  田中敦子  文化出版局 
 「ちゃんとした人」がつくる「ちゃんとしたもの」は実用的であり、そして美しい。「ちゃんとした人」がつくる「ちゃんとしたもの」を選ぶ「ちゃんとした人」でありたい。


「野山で生まれた暮らしの道具」  かくまつとむ  小学館 
 天然素材を人間の巧みな技術が美しく実用的な生活道具に仕立て上げる。道具とは何か?、美しいとは何か?、そんなことを考えさせられる。


2002年12月31日(旧暦11月28日)

 まもなく2002年が終わろうとしている。(サーフィンや畑仕事など、普段の暮らしでは圧倒的に旧暦が合理的で実用的なのだが・・・。)今年一年を振り返って、今年ボクがどんな音楽を聴いてきたのか、ボクなりのベストCDをここにあげてみた。

vrioon   vrioon / alva noto + ryuichi sakamoto
かねてからリリースが噂されていたcarsten nicholai(カールステン・ニコライ)=alva notoと坂本龍一のコラボレーション作品が、年末になってリリースされた。空気感と時間感覚が美しい、心身が浄化されるような美しい一枚。順位をつけるつもりはないけれど、ボクにとっての今年のベストCDがこの一枚。
point
POINT / CORNELIUS 
リリースされたのは昨年末だが、今年一年もっともよく聴いた一枚なのでここにあげた。独特の空気感とドライブ感でどこにもない独自の世界を築き上げている。今年のベスト・ロックCD。
 
ハイヌミカゼ ハイヌミカゼ / 元ちとせ 
かつてレゲエが徹底したローカリティゆえにグローバリティを獲得したように、元ちとせも世界へとはばたいてゆくだろう。ボクらの上の世代には美空ひばりや都はるみという歌手がいた、ボクらもやっとそれに続く時代の歌い手を獲得したのかもしれない。
  うたばうたゆん
うたばうたゆん / 朝崎郁恵 
奄美の唄者(元ちとせの大先輩)・朝崎郁恵の実験的な一枚。朝崎郁恵の声はすでに島唄を越えて、アイヌや台湾先住民、ときにはサーミの歌声にも聞こえてくる。人間の声が持つ力を思い出させてくれる。
ウリチのシャマニズム儀礼の歌 ウリチのシャマニズム儀礼の歌
アムール川下流域に暮らす少数民族ウリチの、3人の老シャマンによる儀礼の歌を(90年代に)録音した貴重な自家盤。世界の裂け目を繕うシャマンの歌声と太鼓の力がここに記録されている。(→びやぼん屋
FUTARI GRACEFUL SILENCE / WORLD STANDARD + MOOSE HILL 
FUTARI Anthology of Barbarian Folk Music / WORLD STANDARD + KAMA AINA 
FUTARI GRACEFUL SILENCE FUTARI Anthology of Barbarian Folk Music
WORLD STANDARD = 鈴木惣一朗の「ふたり」コラボレーション・シリーズの二作品。moose hill = 伊藤ゴロー、kama aina = 青柳拓次とのそれぞれのコラボレーションは、アコースティックな響きと音響作品的な響きが一体となった美しい作品となっている。進行中の、Jorg Follert(= wunder=wechsel garland)とのもう一つの「ふたり」作品も楽しみだ。
  LIBERATION VON HISTORY LIBERATION VON HISTORY / WECHSEL GARLAND
wunderことJorg Follertのwechsel garland(ヴィクセル・ガーランド)名義の作品。この作品では楽器よりのアプローチが強まり、新しい時代のランチタイム・ミュージックとなっている。食傷気味のエレクトロニカの中、この人は確実にこの人にしかできない音楽を持っているように思う。
 
wuwei
wuwei / animist orchestra
石や木、貝といった自然素材を楽器として音楽制作を続けてきたJeph Jermanが、同様の関心を持つアーティストたちに呼びかけて結成したのがanimist orchestra。non-action(無為)をタイトルに掲げたこの作品は、音の俳句ともいえる世界を築いている。ここにあるのは音楽ではなく、ただ「音」そのものだ。
AUDIO SPONGE AUDIO SPONGE / SKETCH SHOW 
今年、車の中でとにかくよく聴いたのが、コーネリアスの「POINT」とスケッチ・ショウのこの一枚。二人の声が重なると、どうしてもYMOに聞こえてしまう。ライブ(WILD SKETCH SHOW)を経て見えてきた方向性がどう展開されるのか、次作以降が今から楽しみだ。
JUNK COLLECTOR
JUNK COLLECTOR / TOMMY GUERRERO 
「POINT」、「AUDIO SPONGE」に次いで車の中でよく聴いたのが、Tommy Guerrero(トミー・ゲレロ)のこのミニ・アルバム。リリースは昨年末ながら、これもよく聴いた一枚なのでここにあげた。日本盤にのみ収録された「It Gets Heavy」がクール。
 こうしてリストアップしてみると、大きく二つの傾向が見えてくるように思う。ひとつは音そのものの響きを徹底的に追及したもの、もうひとつは人間の声の力を感じさせてくれるもの。ここにあげられなかった愛すべき作品もまだまだたくさんある。いずれ機会をみて紹介したいと思う。

 

2002年12月20日(旧暦11月27日)


 今シーズン最初のスノー・トリップから戻った。新幹線での移動を取り入れたスケジュールで、初滑りと温泉をたっぷりと堪能してきた。南東北が誇る一大ゲレンデ蔵王温泉スキー場と、11月から5月までのロングシーズンとパウダー・スノーが売り物の西吾妻・天元台高原スキー場でのスノー・ボーディングをスケジュールの中心にした、3泊4日のスノー・トリップだった。蔵王温泉スキー場はゲレンデ下部に一部土が出ていたりしたが、山頂付近はすでに樹氷の赤ちゃんが壮観だった。ゲレンデの規模も壮大で、2日がかりでなんとかゲレンデの全コ−スを把握できた。天元台高原スキー場は、前夜からの積雪でコンディションも良く、今シーズンの初パウダーを(ちょっぴり)楽しめた。


 スノー・トリップでの温泉三昧もボクにとっての大切なテーマだ。今回も、蔵王での共同湯上湯・下湯、川原湯、蔵王温泉源七の湯、泡ノ湯温泉、白布温泉とそれぞれにタイプの違う、実に強い(地球の胎動を感じさせてくれる)温泉だった。
 地球科学では、日本など地震や火山活動のアクティブな地域を「変動帯(Mobile Zone)」と名付けている。(反語は「安定大陸(Stable Continent)」。)源泉から悠々と沸き出す湯を見ていると、自分が「変動帯(Mobile Zone)」に生きていることを強く実感させられる。滾々と沸き出す源泉を見つめていると、ボクの心は地球の内部に飛んでいってしまう。ちょうど、遠くの星を眺めて宇宙の広さを思うように。

スノートリップ
写真上段左から 蔵王地蔵山頂/蔵王温泉源七露天の湯/共同湯上湯/共同湯下湯/共同湯川原湯
下段左から 下湯浴槽/古代の丘土偶広場の冬支度/泡の湯温泉三好荘/天元台高原スキー場/白布森の館

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