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2011年03月13日

●人間のゆくえ、文明のゆくえをかんがえなければならない。

これ以上、ヒトも、動物も、植物も、虫も、鳥も、ひとつの生命も失われないよう・・・。


 宇宙船にのった宇宙飛行士たちが地球を見おろしている。はじめは興奮して、あそこが自分の国だ、あのあたりが自分のふるさとだといいあっていたが、日がたつにつれて、話題から国境が消えてしまい、民族と国家をこえた共通のふるさととしての地球を見つめるようになった。「地球は一つ」という実感を持つようになったのである。
 こういう経験をへて、宇宙船地球号という思想が現実性をおびてきた。「われわれ人類はすべて宇宙船地球号の乗組員なのである。おたがいの紛争をおさえ、資源のむだ使いをさけて、地球の寿命をできるだけのばすようにこころがけなくてはいけない」という主張なのである。
 それはそのとおりである。しかし、その上でわたしはおもうのだが、われわれののりくんでいる宇宙船地球号は、熱気球のように風のまにまにどこへともなく流されていってよいのだろうか。地球内部の諸問題のコントロールはうまくいったとしても、宇宙船そのものは、ゆくえ知れずということでもよいものだろうか。
 地球はたしかに物理的な宇宙空間にうかんでいる。しかし、地球がうかんでいるもう一つの空間がある。それはたましいの空間である。宇宙船地球号にのって人間がむかっていくさきが、天国なのか、地獄なのか、かんがえなくてもよいものだろうか。
 ここまでくると、宇宙船地球号とその乗組員全員は、宗教の空間につつまれていることを知るのである。
 同じことが、地球の上にもおこって、問題をなげかけている。
 それは自然の破壊が大規模に進行しているということである。
 たとえば熱帯雨林がたいへん早いスピードで、伐採され、あれはて、危険な状態にたちいたっているのだ。いままではびっしりと森林におおわれていて近づくことも用意でなった奥地に、ひろい道路がつくられてトラックがゆききし、森の中でチェーン・ソー(動力のこぎり)がうなりをあげている。そこでは樹高四十メートル、五十メートルの巨木がまたたくまに切りたおされていく。もともとそこで暮らしていた住民もこまっているのだ。
 森林の大規模な破壊は、大気圏の気温の上昇にもつながりかねない。たいへんなことだ。われわれじゃ力をあわせて森林の破壊くいとめなければならない。そういう声があがっている。
 しかし、さいわい人々の努力がみのって、森林がもとのすがたにもどれば、それでひと安心だろうか。そういうわけにもいかないようにおもわれる。人類にとっての危機がさきにのばされただけで、人類と文明の圧力は自然におおいかぶさっているからである。
 森林がふたたびその姿を回復したら、あらためてその森にはいって、瞑想し、思索して、人間のゆくえ、文明のゆくえをかんがえなければならない。
 自然と人間との一体性をとりもどさなくてはならない。
 しかし、一体性をとりもどすといっても、頭のなかでかんがえ、感覚でとらえるだけではふじゅうぶんである。どうしても宗教の世界にふみこんで、自分と自然、自分と宇宙の接点を体験し、その意味をかんがえつづけなければならない。
 その接点にたどりついて、宇宙と対話する。その接点にたって、自然と友だちになる。
 ひょっとしたら、そこで神に出会うかもしれない。いや、神じゃなくて、それはがっしりした巨木の幹かもしれない。
 ひょっとしたら、そこで自分のたましいが光るかもしれない。いや、たましいじゃなくて、草むらのなかでトカゲの目が光ったのかもしれない。
 われわれは自然のなかの自然、その根っこのすぐ近くまできているのかもしれない。
 そうかとおもうと、いくら歩きまわっても神が見えない。たましいがどこに点滅しているのかわからない。そういうおもいから、あたりを見まわしてたずねあぐみ、失望することもあるだろう。
 ホントに、そういうことがあるかもしれない。
 しかしーー神は見えなくてもーーカミをふくむ風景、たましいのやどる風景はくっきり見えているはずである。だって、きみはいつだってそういう風景にとりかこまれているのだからーーー。
 その風景のなかで自分を生かす努力をしよう。明日の自然、明日のにんげんのあるべきすがたをおもいながら、自分のすすむ方向を自分できめて出発する。今日は今日の出発点があり、明日は明日の出発点がある。
 しかしたいせつなのはいまだ。今朝は今朝のいのちを、一瞬、キラリと光らせて出発する。
「朝顔さん、こんにちは」といいながらーーー。
ーーーそうだ。この朝顔はふつうの朝顔じゃなかった。そのとき、そこできみのためにさいた宇宙朝顔だったのだーーー。

岩田慶治「からだ・こころ・たましい」

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