●その高い壁は、「システム」です。
そう、「システム」に操られてはいけないんだ。
そしていま、僕はここに来て語っています。もしその「壁」が――その壁にぶつけられる「卵」が壊れてしまうほど――固く、高いものであるならば、どんなに「壁」が正しくとも、どれほど「卵」が間違えていたとしても、僕は卵のそばに立つでしょう。
なぜか? 僕たちひとりひとりが、その「卵」だから、かけがえのない魂を内包した壊れやすい「卵」だからです。僕たちはいま、それぞれが「壁」に向かい合っています。その高い壁は、「システム」です。
僕が小説を書くさい、たったひとつの目的しか持っていません。それは個々人のかけがえのない神性を引き出すことです。その個性を満足させるために、そして僕たちが「システム」に巻き込まれることを防ぐために。だからこそ僕は、人々に微笑みと涙を与えるべく、人生と愛の物語を書きつづります。
僕たちはみな、人間であり、個人であり、壊れやすい卵です。
「壁」はあまりに高く、暗く、冷たすぎて、それに立ち向かう僕たちに、望みはありません。(だからこそ)「壁」と戦うために、僕たちの魂は、暖かさと強さを持つべくお互いに手を取り合わなくてはなりません。僕たちは僕たちの作った「システム」に操られてはいけません――そのように僕たちを形作ってはいけません。それはまさに、僕たちが作った「システム」なのですから。
村上春樹のスピーチを訳してみた(要約時点)進化版 sho_ta「しあわせのかたち」

コメント
ますます春樹ファンになりそうです☆
Posted by: AMMY | 2009年02月17日 16:02
彼のスピーチを見ていて泣けてしまいましたね。なぜだろうか。ぼくが加入しているMLで受賞拒否するように呼びかけたり署名集めたりしていた人たち(その気持ちはわかるのですが)からの反応が今のところないのです。それが不思議。
Posted by: 布田の八百屋 | 2009年02月17日 23:52
彼のスピーチを見ていて泣けてしまいましたね。なぜだろうか。ぼくが加入しているMLで受賞拒否するように呼びかけたり署名集めたりしていた人たち(その気持ちはわかるのですが)からの反応が今のところないのです。それが不思議。
Posted by: 布田の八百屋 | 2009年02月17日 23:53