●電話をひくのは五台までにとどめよう。
先週末の「電気を止める子どもたちVol.1 [ホピの予言2004年版]上映会」も無事に終わり、写真展「六ヶ所村エナジー」、「六ヶ所村ラプソディー」上映会の準備が慌ただしい。普段の日常とは明らかに違う時間の中に、今、ボクはいる。
「電気を止める子どもたち」とはどういうことなのか?、きっちりとした文章にまとめなくてはいけないが、気持ちばかりで筆がすすまない。何気なくひらいた一冊の本に、素敵な一節があった。
バリ島の京都にあたる古い町で、長老たちが集まって、電話なるものにどう対処すべきか会議をひらいたのだという。
ー たしかに電話は便利なものだ。だが、どうしても良いものであるとは思えない。
それは共同体の深さ、世界の奥行を壊すものではないかというのが、長老たちの一致した考えであった。そして討議の結果、
ー 電話をひくのは五台までにとどめよう。
決してそれ以上は増やすまいと結論を下したのだという。それもまたひとつの見識である。
バリ島の人びとは近代化からとり残されているのではなく、文化のウォーレス線の向こう岸に在りつづけようと決意しているのだ。村々をうるおす観光収入も、ほとんどすべてが、年に数万回の祭のために蕩尽されるという。
そして神話につながる内界をあくまでも生きつづけて、ガムラン音楽や、歌舞、芸能など、文化そのものを比類なく洗練させていく方向性を、きわめて意識的に選び取っているのかもしれない。
宮内勝典「バリ島の日々」
